2010/03/28

torne 使用感は大変快適

PlayStation3 専用地上デジタルレコーダーキットtorne。PS3で地デジを視聴出来たり、録画ができる周辺機器です。


初期出荷分は早々に予約が完了し、販売初日も即完売、という大人気ぶりでしたが、幸い、仕事で出かけた郊外の量販店で二次出荷分を購入することができました。

外箱。左に置いたiPhoneと比較すると分かりますが、ハードウェアが入っているにしては、小さく、軽いパッケージです。


開くとまずはUSBケーブルが。



その下には、ソフトウェアとチューナ本体が納められています。地デジチューナを購入した、という認識でしたので、本体よりも大きなPS3ソフトウェアパッケージが一番目立っているのは、新鮮に感じました。


パッケージの中身は、いたってシンプル。左上はB-CASカード。中央の白い袋に入っているのがチューナです。


チューナ本体。表面にPS3のロゴが彫り込まれています。ザラザラした表面加工は新型PS3と同様です。


iPhoneとの大きさ比較。非常に小さいことが分かります。この本体にはB-CASカードを挿入するのですが、カードのサイズがこの大きさを規定している最大要因なのでは、と感じました。


ハードウェアに関する付属マニュアルは、SCE純正周辺機器でおなじみのペラ紙一枚。最近のAV家電に付属するマニュアルを見慣れていると、シンプルかつ解りやすく感じます。


torneソフトウェアのパッケージを開いた様子。こちらのソフトウェアマニュアルは分厚く60ページ。ソフトウェア主体の構成であることが分かります。


本体の結線は非常に簡単です。テレビにつながっているアンテナを外してtorneチューナの入力側へ接続、torneチューナの出力側はテレビへのアンテナ端子へ。その後、torneチューナとUSBケーブルを接続しPS3へ差し込みます。文章で書くとややこしく思えますが、torneチューナへ余計な差し込み口がないため、直感的に接続出来ます。

ただし、アンテナ線がそれなりに太く、またUSBケーブルもそれなりの長さがあるため、ケーブルの取り回しはなかなか綺麗には収まりません。

私の環境では、接続に際して一点注意すべき点がありました。私はCATVに加入しており、パススルーで地デジを受信しています。torneを繋ぐ前の結線はこんな感じです。
  • 壁のアンテナコネクタ <-> CATVチューナ <-> BD-Recorder <-> TV
    
マニュアルには壁のアンテナとTVとの間に torneチューナを接続するように書かれていまが、配線取り回し易さから、次の構成で接続しました。
  • 壁のアンテナコネクタ <-> CATVチューナ <-> torne <-> BD-Recorder <-> TV
    
こうしたところ、torne を起動すると、TV側で「電波強度が弱くて受信出来ません」と表示されるようになってしまいました。torne を(正確にはPS3を)起動しなければ、問題ありません。

結局、次のような構成にしたところ、torne 起動時もTVの視聴ができるようになりました。
  • 壁のアンテナコネクタ <-> CATVチューナ <-> BD-Recorder <-> torne <-> TV
    
torneで地デジを表示できるような状態で TVチューナを使う必然性は少ないかとは思いますが、設置後に同じような状況になられた場合には、torneの接続位置を再検討すると良いかと思います。

チューナの設置終了後、torneソフトウェアのインストールを行います(ただし、torne チューナをPS3へ接続していない状態でもソフトウェアのインストールは可能でした)。

インストールを選択すると、「システムソフトウェアを3.16にする必要があります。アップデートしますか?」との案内が表示されました。この時点でPS3のバージョンは3.15であり、アップデート可能な最新状態です。torne のソフトウェアパッケージ内には、まだ配布されていないシステムが同梱されているようです。システムアップデート後は普通にインストールが完了しました。

起動すると torne ソフトウェアのバージョンアップが検出され1.10へとアップデートされました。CATV環境でのチャンネルスキャンが出来ない問題への対処です。従来の家電では、不具合がある場合でも、アップデートされるまでに時間がかかる、または、最悪アップデートされない、という場合が少なくありませんでした。その点、発売後一週間以内にソフトウェアアップデートが実施されるフットワークの軽さは魅力的に感じました(バグが少ないに越したことはありませんが)。

torne最初の起動には初期設定が開始され、チャンネルスキャンが実行されます。CATV局のローカルチャンネルも含め、全てのチャンネルが認識されました。


実は、このチャンネルスキャンまで、torneチューナをPS3本体へ接続することなく進めることが出来ます。チャンネルスキャン時に初めて機器の接続が確認され、接続されていない場合には警告が表示されますが、この時点でPS3へUSB接続すれば、チャンネルスキャンが継続されます。

起動後のインターフェースは、まさに良質なゲーム同様です。すべての操作が軽快に機能し、快適なフィードバックを与えてくれます。例えば、一般的な家電に多く見られるような、
  • スクロールが遅くて必要な情報になかなか辿り着けない
  • ボタンを押しても反応がないので、もう一度押したら、2回有効化されてしまい、意図せぬ結果に
  • 画面が余っているにも関わらず、肝心な情報が表示されず、表示するためには数手間必要
などというもどかしさはありません。

例えば、番組表の拡大縮小はアニメーションを伴なった高速描画で実現されています。このため、快適な動作を実現しながらも利用者が自身の視点フォーカスを失わないよう、配慮がなされています。

チャンネル切り替えのように、待ち時間の発生する箇所では、例えば今から視聴しようとしている番組名を画面上へ美しく表示させることで、心理的に待ち時間の軽減を図っています。もちろん、だからといって、チャンネル切り替えが一般のテレビと比べて遅い、というわけではありません。

テレビ視聴中のチャンネル切り替えでは、動画再生をしながら、画面下部に他局の番組情報も表示され、内容を確認したうえで、好みのチャンネルへダイレクトジャンプ出来ます。録画をした番組一覧では、サムネイルで記録動画を自動再生してくれるため、本当に見たい番組かどうかを、わざわざ再生することなく確認できます。

恐らくPCやゲームのインターフェイスの慣れ親しんだ人が感じる「家電のインターフェイスとはこうあるべきなんじゃないかな」という思いを、わかりやすく具現化したものだと言えるでしょう。私にとって、このインターフェイスは、まさに「かゆいところに手が届く」、大変扱いやすいものでした。

普段、旧来の家電インターフェイスの世界でのみ生活している人にとっては、全く違う世界観であり、やや取っ付きにくい印象を持たれるるかもしれませんが、PCやゲームに慣れている方には、ぜひ一度、この快適な世界を試してみることをおすすめしたいと思います。

今後、こういうインターフェイスを持った家電も増えてくると、各種家電を購入する楽しみも増えてゆくな、と感じました。

2010/03/08

WHR-HP-G300N+WLE-2DAの実効速度検証(続WZR-HP-G300NHの実効速度検証)

先日のblogで、BuffaloのWZR-HP-G300NHに関する実効速度検証を行いました。結論は、
  • 私の環境に於いても、802.11n接続では802.11gよりも高速伝送を実現できるものの、電波状況などからその実力を安定的に発揮させるのはやや困難な場合がある
  • アクセスポイントを、オプションアンテナ対応のWHR-HP-G300Nに交換し、WLE-2DAなどのオプションアンテナを採用することで、伝送速度に変化が生じる可能性は高いでしょう
というものでした。

これ以後この環境を常用していますが、やはり最大の問題は802.11n接続での不安定さです。快適に動作していたかと思えば、急にパケットが流れなくなる、といった感じの繰り返しで、なかなか言う事を聞いてくれません。802.11gでの接続は大変安定している為、より残念さが募ります。

そこで、安定接続を求め、アクセスポイントとしてWHR-HP-G300Nを、また、オプションアンテナとしてWLE-2DAを導入してみることにしました。


WHR-HP-G300Nは、WZR-HP-G300NH同様、Buffaloから発売されている、ルータ機能を持った無線LANアクセスポイントです。WZR-HP-G300NHと比較した最大の特徴は、指向性のオプションアンテナが接続できることでしょう。接続状態の向上に大きく寄与してくれそうです。

その他の差異としては、WZR-HP-G300NHに装備されている簡易NAS機能や、ストリーミング向け設定をスイッチひとつで切り替えられる「ムービーエンジン」などが省略されています。また有線LAN側はGbEではなく100Mbpsです。一方、その分価格は抑えられており、実売8000円を切る価格で販売されています。また写真からはわかりにくいのですが、筐体もWZR-HP-G300NHよりも一回り小さなサイズのものが採用されています。

さて、前回と同じ環境を用いて速度調査を行ってみます。

設置場所は木造2階建ての家屋で、アクセスポイントは2階に設置します。このアクセスポイントGbEハブでiMacと接続されていますが、アクセスポイントとHubとは相性問題の為、有線側がGbEであるWZR-HP-G300NHでも、100Mbpsでしか接続出来ていません。

1階にはWLI-TX4-AG300Nを設置し、そこへWindows7をインストールしたLenovo S9eを有線で接続します。

この状態でMacOS X側でftpサーバとして稼働させ、S9e側ではWindows標準のftpコマンドを使い、
80M程度のデータの取得速度を計測します。アンチウイルスソフトなどはすべて停止させ、なるべく他のソフトの影響が及ばないように注意しました。

まずはWZR-HP-G300NHを用いて、現在の伝送速度を計測してみます。

前回同様、無線のチャンネルは13chで干渉はありません。認証/暗号化はWPA2-PSK(AES)、利用帯域は20MHzの1チャネル。ファームは最新のVer.1.72です。この状態で、1Fに設置したWLI-TX4-AG300N側で表示されている電波状態は86%から91%。Windows上で稼働させたinSSIDerによる電波強度は約50dbです。結果は以下のようになりました。
  1. 7.467Mbps(955.72KBps)
  2. 34.42Mbps(4405.64KBps)
  3. 21.86Mbps(2797.55KBps)
  4. 17.24Mbps(2206.69KBps)
  5. 35.05Mbps(4486.33KBps)
  6. 8.86Mbps(1134.19KBps)
  7. 27.10Mbps(3468.26KBps)
最高・最低速度を除く平均速度は21.89Mbps。最高速度的は良い感じなのですが、如何せん、やはり安定しません。

今度は、WZR-HP-G300NHを今回購入したWHR-HP-G300Nへと置き換え、計測を行います。まだオプションアンテナは使用せず、本体付属の棒アンテナでの計測です。ファームは最新のVer1.61を使い、無線チャンネルや認証方式は、WZR-HP-G300Nと同一の設定にしました。帯域も20MHzです。WLI-TX4-AG300N側で表示されている電波状態は86%から91%、また、inSSIDerを用いた電波強度は、約50dbと、この点もWZR-HP-G300NHと変わりありません。

計測結果は、以下の様になりました。
  1. 49.67Mbps(6358.47KBps)
  2. 49.92Mbps(6390.33KBps)
  3. 48.53Mbps(6212.93KBps)
  4. 50.36Mbps(6446.22KBps)
  5. 47.84Mbps(6123.91KBps)
  6. 50.36Mbps(6446.22KBps)
  7. 50.23Mbps(6429.71KBps)
なんと、今までの計測で得た最高速度以上の速度が、安定して得られています! 最高・最低速度を除く平均は49.74Mbpsです。設置環境問題で速度が出ないとばかり思っていただけに、この結果には、正直驚きました。これは非常に期待が持てます。

気を良くして、このまま40MHz(2チャンネル)帯域での接続を試してみます。追加で選択されたチャンネルは9ch。このチャンネルは、微弱ながら、近隣で他に利用しているアクセスポイントが存在することが確認出来ています。

計測結果は次のようになりました。
  1. 51.38Mbps(6577.62KBps)
  2. 38.69Mbps(4952.27KBps)
  3. 50.73Mbps(6494.68KBps)
  4. 47.78Mbps(6116.45KBps)
  5. 52.25Mbps(6688.78KBps)
  6. 51.25Mbps(6560.97KBps)
  7. 50.04Mbps(6405.62KBps)
最高・最低速度を除く平均は50.24Mbps。残念ながら特筆すべき速度向上は見られませんでした。却って速度にばらつきが生じています。

今度はオプションアンテナであるWLE-2DAを取り付けて計測してみます。

WLE-2DAは指向性アンテナですので、WLI-TX4-AG300Nへ向けて電波が正しく届くよう、向きをしっかりと合わせました。結果WLI-TX4-AG300N側で表示されている電波状態はほぼ100%となりました。inSSIDerでの結果は42dbです。オプションアンテナにより、強度が大幅に向上しました。

20MHzでの接続へ戻し、計測を行います。
  1. 45.77Mbps(5859.52KBps)
  2. 48.42Mbps(6198.08KBps)
  3. 48.19Mbps(6168.10KBps)
  4. 47.5Mbps(6080.80KBps)
  5. 47.62Mbps(6095.10KBps)
  6. 46.41Mbps(5940.09KBps)
  7. 48.07Mbps(6153.46KBps)
最高・最低速度を除く平均は47.56Mbps。残念ながら、今回の構成では、オプションアンテナの設置は速度向上へは寄与していないようです。

最後に40MHz接続へ切り替えて、もう一度速度計測を行います。
  1. 61.52Mbps(7875.48KBps)
  2. 59.88Mbps(7664.38KBps)
  3. 62.48Mbps(7997.78KBps)
  4. 60.32Mbps(7721.83KBps)
  5. 60.95Mbps(7802.82KBps)
  6. 59.88Mbps(7664.38KBps)
  7. 56.83Mbps(7274.39KBps)
  8. 60.88Mbps(7792.23KBps)
最高・最低速度を除く平均は60.38Mbps。しかも接続は非常に安定しています! 今までの計測で最高の結果となりました。この成績であれば、オプションアンテナの効果は十分にあると言えるでしょう。

さて、今までの結果をまとめてみると、こんな感じになります。

少なくとも私の環境では、WZR-HP-G300NHとWHR-HP-G300Nの接続性は、速度、安定度とも大きく異なる
簡易NAS機能や「ムービーエンジン」が不要であり、また、有線が100Mbpsで良いのであれば、WHR-HP-G300Nの方がお薦めである(値段も安く、筐体も小さい)
効果的に設置できるのであれば、オプションアンテナWLE-2DAの有用性は高く、特に速度上限を伸ばす際などで効果が発揮される

私は今回のWHR-HP-G300N+WLE-2DA構成へ大変満足しました。802.11g環境では得られない速度体験です。特に価格も随分とこなれており、お買い得度も満点です。

もしWZR-HP-G300NHを用いた802.11nの安定性確保へ苦労されている場合には、この構成を試してみる価値はあるのではと思います。

2010/03/04

竹内先生の最終講義を拝聴しました

幸いにも、竹内郁雄先生の最終講義を拝聴することが出来ました。講義題目は「研究・開発は楽しく」でしたが、竹下先生の講義それ自体が楽しく、実り多い時間でした。どうも有難うございました。

有り難い事に、講義の様子は@hoimeiさんなどが、Twitterなどを通じて公開してくださっています。講義の最後のスライドで語られていた次の言葉は、「目的」の概念を深く考えさせられました(http://twitter.com/hoimei/status/9916983479より)。

真の創造者は目的をもたない
しかしまさのそのことにより
すべての目的を見事に果たす

講義終了後、恐れ多くも「初めての人のためのLISP」へサインを頂くことが出来ました。10代の頃に衝撃を受けた書籍であり、当時は作者の方へお会いする機会を得られようとは夢にも思っていなかっただけに、深い感謝と感慨とを感じています。

東京大学退職後のより一層のご活躍を楽しみにしております。

2010/03/03

Google Chrome Extension「Search Date Changer」を公開しました

小さな、小さな、Google Chrome Extension「Search Date Changer」を公開しました


Googleで検索をすると、検索結果として、Googleが最も有用であると判断したリンク群が表示されますが、時には、対象とするコンテンツの作成日時を指定した場合があります。例えば、来週から京都へ観光旅行に行きたい場合などには、数年前の観光情報ではなく、最近の情報を知りたいと思うかもしれません。

このような場合、検索結果ページ上部にある「検索ツール」をクリックし、左横に表示されている「最新」や「24時間以内」をクリックすることで、検索結果として表示されるリンク先ページを作成日時を限定することが可能になります。

今回作成した Search Date Changer は、この「検索結果の時間範囲指定」を1クリックで可能にするための Google Chrome Extension です。

この Extension をインストール後、Google で検索をすると、Omnibarの右横に次のような、小さなアイコンが表示されます。


このアイコンをクリックすると、検索結果が「最新」「24時間以内」「1週間以内」「1年以内」と切り替わります。わざわざ検索ツールを開く必要はありません。検索自体は、GoogleサイトからでもOmnibar からでも構いません。

実質的なクリック数としては、実は1クリックしか省略されていないのですが、マウスを移動させずに連続で押せる、と言う点が、少しだけ便利かなぁ、と思っています。

インストールは、以下のURLからどうぞ。
なお、ソースコードは github から入手可能です。
ライセンスは、2-clause BSDライセンスになっていますので、ご自由にお使いください。大変シンプル且つ小さなコードなので、初めて Extension を書く際の参考にでもなればと思います。