2008/04/30

『Googleを支える技術』読了

『Googleを支える技術』(西田圭介著、技術評論社)を読み終えました。平易に書かれており、また校正も丁寧で、大変読みやすい本でした。

内容は、色々な書評で書かれている通り、また序文でも述べられている通り、主に、Goole自身が過去に公開した様々な情報を、平易にまとめたもの、と言えます。

しかし、Googleの論文や、講演資料など、色々と目にする機会はあるものの、私は、ついつい、視点が論じられている特定技術や技法そのものへと向かってしまい、ここまで「Googleという1組織全体」という方向性から再整理して再定義した乏しかった為、大変有益でした。

実際、偏在している情報を綺麗に整理し、一本の筋道でまとめあげ、平易に理解できる文章として再構成する、というのは包括的な視点と全体を把握して上でのストーリ展開が重要ですから、そうした点で、見た目の柔らかさとは裏腹に、価値の高い本だと感じます。

さて、この本を読んで感じたことは「Googleは正しいことを、正しく行っているなぁ」ということ。

例えば、コードを書いていると、「うーん、ここはちょっと問題があるけど、他の仕事もあるし、ひとまず場当たり的な実装で進めてみよう」と安易に判断してしまうことがあります。そして多くの場合、このコードを再利用する段階で、この判断結果に悩まされ、苦しめられることがシバシバ。

XP的な視点では「十分に判断した上でKISSに従い、必要に応じて適切にリファクタリング、それを支えるために、常に包括的テストを構築する」ですが、大抵この判断をするときには、気が急いていて「十分に判断」していないことが多かったり、テストが不十分だったり。

Googleの分散テクノロジにしても、開発スタイルにしても「達成することを明確に判断し、その為に実装。状況が変化したら、素早くこまめに修正する。その為には、テストなど、やらなければならないことは決して手を抜かない」という、本来の「常識」が会社全体に広がっているように(正確には、広がるよう、常時努力しているように、かな?)感じました。

最近Googleに対しては「少数精鋭的のサイエンティストで攻めていた従来とは異なり、最近は大量に技術者を雇っているように見えるけど、大丈夫?」的な話を聞きます(私もそう感じていました)。しかし、本書を読んで、実は、データセンターの構築から、ソフトウェアの基礎プラットフォーム、また開発プロセスに至るまで、何れにおいても開発規模を拡大しても十分に「Googleらしさ」を維持できる体制が擁立できた、との自信を深めた上での業務拡大なのでは、と感じました。

とすると、これからの10年が、真のGoogleの成長神話になるのかも知れません...。

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Googleを支える技術  ̄巨大システムの内側の世界 (WEB+DB PRESSプラスシリーズ)

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