IdeaPad S9e にはリカバリーディスクが付属していません。その代わりに、リカバリに必要なデータはハードディスクの別パーティションへインストールされており、それを使って簡単にリカバリが行えるようになっています。Lenovoでは、この機能を
Disk to Disk と呼んでいます。
とはいえ、ディスクが物理的に壊れた場合にはリカバリできませんし、誤ってリカバリデータの格納されたパーティションを解放してしまわないとも限りません。こんなことを考えていると、物理メディアとしてのリカバリファイルが欲しくなります。
もっとも簡単な方法は Lenovo からリカバリーメディアを
購入することです。
「SHODO(衝動)」ブログさんに
よれば、価格は7350円とのこと。妥当な価格だとは思いますが、本体価格が安いだけに、多少割高感も感じてしまいます。
というわけで、このところ流行(?)の、USBメモリを使ってリカバリ環境を作ってみました。参考にしたのは
「ideapad@ウィキ」です。基本的な手順は全てここに書かれています。まとめてくださった皆様に感謝です。
なお、完成したリカバリUSBメモリの使用容量は2.62GBでしたので、4G程度のUSBメモリで十分だと思います。私は、手元にあった、BUFFALOの8Gメモリを使いました。
作成手順は以下の通りです。なお、記載内容は無保証であり、作業は自己責任でお願いいたします。
1. Windows 自動インストール キット (AIK) を入手する
マイクロソフトの
配布ページからAIKを入手します。ISOイメージであり、容量が大きいので気長に待ちましょう。
2. AIKをインストールする
入手したファイルはインストールCDのISOイメージなので、
daemon toolsなどを使ってmountする、またはCD-ROMへ焼くなどして、インストールします。
もし MSXML 6.0 をインストールしていない場合には、まずはMSXML からインストールしましょう(買ったばかりの S9e にはMSXML 6.0はインストールされていません)。MSXML のインストールは、
メニューから選択できます。
3. USB メモリ用イメージを準備する
USBメモリへ書き込むための Windows PE イメージを作成します。
基本手順は、「スタート」->「Microsoft Windows AIK」->「Documentation」から参照できる「Windows PE ユーザーズ ガイド」ヘルプファイルに書いてありますので、それを参照しながら進めるのが良いでしょう。
USBメモリ用イメージの作り方は、このヘルプファイルの「WindowsPE をカスタマイズする」->「Windows PE のチュートリアル」->「チュートリアル: 起動可能な Windows PE RAM ディスクを UFD に作成する」から手繰れます。
まずは「スタート」->「Microsoft Windows AIK」->「Windows PE Toolsコマンド プロンプト」でコマンドプロンプトを開きます。
次に以下のコマンド実行します。ここでは、イメージを c:\winpe_x86 ディレクトリへ作成しています。
C:\Program Files\Windows AIK\Tools\PETools> copye.cmd x86 c:\winpe_x86
C:\Program Files\Windows AIK\Tools\PETools> copy "c:\Program Files\Windows AIK\Tools\x86\imagex.exe" c:\winpe_x86\iso\
C:\Program Files\Windows AIK\Tools\PETools> xcopy "c:\Program Files\Windows AIK\Tools\x86\Servicing" c:\winpe_x86\iso\Servicing /s
C:\Program Files\Windows AIK\Tools\PETools> copy %windir%\system32\msxml6*.dll c:\winpe_x86\iso\Servicing
この後、C:\winpe_x86\ISO ディレクトリ内へ Wimscript.ini ファイルを作成し、以下の内容を書き込みます。
[ExclusionList]
ntfs.log
hiberfil.sys
pagefile.sys
"System Volume Information"
RECYCLER
Windows\CSC
[CompressionExclusionList]
*.mp3
*.zip
*.cab
\WINDOWS\inf\*.pnf
4. 英語キーボード配列に対応する(オプション)
私は S9e を
英語キーボードへ交換していますので、英語キーボード配列を利用できるように設定しました。この設定をしないと Windows PE の元では \ が入力できず、なかなかに苦労することになります。勿論キーボードを交換していない人は、行う必要はありません。
この情報は、
「な○の 屋」さんの
「WinPE2.0 (Windows AIK)」を参考にさせていただきました。貴重な情報の公開に感謝します。
具体的な手順は以下の通りです。
C:\Program Files\Windows AIK\Tools\PETools> imagex /mountrw c:\winpe_x86\winpe.wim 1 c:\winpe_x86\mount
C:\Program Files\Windows AIK\Tools\PETools> peimg /lang=ja-JP /layerdriver=1 c:\winpe_x86\mount\Windows
C:\Program Files\Windows AIK\Tools\PETools> peimg /prep c:\winpe_x86\mount\Windows
入力を求められるので「yes」を入力します
C:\Program Files\Windows AIK\Tools\PETools> imagex /unmount c:\winpe_x86\mount /commit
C:\Program Files\Windows AIK\Tools\PETools> copy c:\winpe_x86\winpe.wim c:\winpe_x86\ISO\sources\boot.wim
ここでも上書きを確認されますので、「yes」を入力します
5. Windows PE の boot CD-ROMを作成する(オプション)
USB メモリをboot可能状態に設定します。
boot 可能化処理自体は diskpart コマンドで簡単に設定できますが、残念ながら、Windows XP の diskpart コマンドでは、USBメモリを操作することができず、Windows Vistaが必要になります。
幸い Windows PE 2.0はWindows Vistaをベースなので、先に準備したPEイメージを利用して USB メモリをboot可能状態に設定しましょう。
但し、このためには、まず Windows PEで boot しなければなりません。そのため、一旦先の PEイメージを CD-ROM へ焼き込みし、そのCD-ROMからbootしたうえで、diskpart コマンドを使ってUSBメモリの設定を行う、という、やや、本末転倒気味な作業が必要になります。もし、Windows VistaのインストールされたPCが利用可能なのであれば、それを使うのが簡単です。
先ほど作ったPEイメージからISOイメージを作り出すのは、「チュートリアル: 起動可能な Windows PE RAM ディスクをCD-ROMに作成する」に書いてある通り、簡単に行えます。
C:\Program Files\Windows AIK\Tools\PETools> oscdimg -n -bc:\winpe_x86\etfsboot.com c:\winpe_x86\ISO c:\winpe_x86\winpe_x86.iso
ISOイメージが出来たら適当なツールを使って、CD-ROMへ焼き込みます。無事に焼けたら、そのCD-ROMから Boot しましょう。コマンドライン用の Window が開き、wpeinit 処理がしばらく続いた後、操作可能なコマンドプロンプトが表れます。
6. Boot可能な USB メモリーを作る
USB を Boot 可能な状態にします。手順は以下の通りです。
X:\windows\system32> diskpart
DISKPART> list disk
USBメモリを差します。
DISKPART> list disk
増えた Disk が USBメモリのディスク番号です(私はDisk 2でした)。このディスク番号を選択します。
DISKPART> select disk 2
ディスク 2 が選択されました。
DISKPART> clean
Diskpart はディスクを正常にクリーンな状態にしました。
DISKPART> list partition
このディスクには表示するパーティションがありません
DISKPART> create partition primary
DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。
DISKPART> list partition
パーティション情報表示されるので、Type が「プライマリ」になっている
ことを確認しましょう。
DISKPART> select partition 1
パーティション 1 が選択されました
DISKPART> active
DiskPart は現在のパーティションをアクティブとしてマークしました
DISKPART> format fs=fat32
フォーマットにしばらく時間がかかります。
DISKPART> assign
DiskPart はドライブ文字またはマウント ポイントを正常に割り当てました
DISKPART> list volume
*の付いた Volume が現在のフォーカスの当たっているディスク、すなわちUSBメモリになります。Ltr に書かれている文字が USB に割り当てられたドライブレターです。私の環境ではH:でした。このドライブレターを覚えておきましょう。
DISKPART> exit
余談ですが、私は当初 MacOS X 上の VMWare Fusion 上へインストールした Windows7 の β版を VISTA の代用にし、diskpart コマンドを実行しましたが、Windows7がブルースクリーンで落ちてしまい、うまく行きませんでした。Windows7 RCに期待です。
7. Windows PE 環境 & リカバリデータをコピーする
USBメモリへ移動します。先ほど確認したドライブレターをもとに、ドライブを移動します。
X:\windows\system32>h:
H:\>
PEイメージデータをコピーします。
H:\> xcopy c:\winpe_x86 /E /F /H /V /K
最後に d:\ へ格納されているリカバリデータをコピーします。間違えると大変ですから十分に確認してから作業してください。
H:\> xcopy d:\ /E /F /H /V /K
以上でUSBメモリの作成手順は終了です。
8. リカバリUSBメモリを実行してみる
作成した USB メモリを試してみましょう。USBメモリを差し S9e を起動します。
Lenovo ロゴが表示されたら F12(Fnキー + F11)を押し、Boot Menuを呼び出します。USB HDDを選択し boot しましょう。
Lenovo ロゴと浮き輪の絵で構成された splash screen が表示されてから約1分ほどすると、Product Recovery Wizard が起動します。おつかれさまでした。
やや手間はかかりますが、作成手順そのものは簡単ですので、リカバリディスクに興味をお持ちの方は、ゴールデンウィーク中の余暇にでも挑戦してみては如何でしょうか?