2011/05/06

NEC AtermWR8700N を購入し実効速度を計測しました

最近はホームネットワークといえば無線LANが一般的になり、自前のアクセスポイントを稼働させる家庭が増えてきました。これに伴いアクセスポイントのチャンネル重複も一般化、住宅地にある我が家でも、全てのチャンネル上で複数個のアクセスポイントを確認できます。

このチャンネル重複の為か、最近無線LANの動作が不安定になることが増えてしまいました。特に木造二階建てである我が家では、1F/2F間のバックボーンを無線LANで構築しているため、この影響はホームネットワーク全体へと及んでしまいます。

但しチャンネル重複が見られるのは2.4GHz帯のみ。5GHz帯にはアクセスポイントが一切存在しません。そこで5GHz帯での802.11nをサポートしたAtermWR8700Nを試してみることにしました。実際に購入したのはイーサネットコンバータ「AtermWL300NE-AG」とのセットである「PA-WR8700N-HP/NE」です。


AtermWR8700Nは昨年春の発売以来、人気の続く製品で、相当の期間品切れが続いていました。実際に利用した方の評判も高く、いつかは試してみたいと思っていた製品です。

現在使用している無線LANシステムは「WHR-HP-G300N+WLE-2DAの実効速度検証(続WZR-HP-G300NHの実効速度検証)」でまとめたように、BUFFALOのアクセスポイント「WHR-HP-G300N」へ、オプションアンテナ「WLE-2DA」を接続した構成。


「WHR-HP-G300N」は40MHzチャンネルボンディング+2ストリーム対応をサポートしており、理論値300Mbpsでの通信が可能な802.11nアクセスポイントです。但し対応周波数帯域は2.4GHz帯のみであり5GHz帯はサポートしていません。

このアクセスポイントを2Fへ、1Fには「WLI-TX4-AG300N」を設置し、1F/2F間のバックボーンを構成しています。「WLI-TX4-AG300N」も40MHzチャンネルボンディング+2ストリーム対応の製品であり、加えて2.4GHz/5GHzの両帯域へ対応している点が特徴です。但し「WHR-HP-G300N」との組み合わせでは、2.4GHz帯でしか利用できません。

以前計測した際の伝送速度は平均60.38Mbpsでしたが、今回、AtermWR8700Nの導入に伴い、改めて現在の環境でも速度を計測をしてみることにしました。

伝送データ量は前回同様約80Mバイト、認証や暗号化も前回と変化ありません。但しftpを使った前回とは異なり、今回はttcpで計測してみます。また「WLI-TX4-AG300N」側に接続するのはIdeaPad S9eではなくMacBook Airです。

結果は以下の通りでした。

  1. 63.39Mbps(8114.04KBps)
  2. 62.71Mbps(8026.72KBps)
  3. 63.32Mbps(8105.09KBps)
  4. 63.00Mbps(8063.62KBps)
  5. 63.63Mbps(8144.85KBps)

最高・最低速度を除く平均は63.24Mbps。前回の計測とほぼ変化ありません。

次にこれらのシステムを「AtermWR8700N」+「AtermWL300NE-AG」へ置き換え計測してみました。両製品とも40MHzチャンネルボンディング+2ストリーム対応であり、且つ2.4GHz/5GHz帯域の何れでも接続が可能です。

まずは2.4GHz帯での速度を計測してみました。

  1. 62.41Mbps(7988.54KBps)
  2. 61.39Mbps(7858.44KBps)
  3. 61.93Mbps(7927.46KBps)
  4. 66.47Mbps(8507.73KBps)
  5. 63.32Mbps(8104.79KBps)

最高・最低速度を除く平均は62.56Mbps。概ねWHR-HP-G300N構成と変化ありません。

今度は、アクセスポイント、イーサネットコンバータを5GHz帯域で接続してみます。

  1. 78.30Mbps(10023.02KBps)
  2. 78.68Mbps(10070.91KBps)
  3. 78.39Mbps(10034.01KBps)
  4. 79.93Mbps(10231.26KBps)
  5. 79.43Mbps(10166.95KBps)

最高・最低速度を除く平均は78.83Mbps。同じ機材を用いながら、使用帯域を5GHzへと変更することで、先程より約16Mbpsも速度が向上しました。

5GHz帯は2.4GHz帯に比べ障害物耐性が弱いため、我が家の環境で5GHz帯を併用した場合、「動作の安定性は増すが、転送速度は低下する」との結果を予想していました。しかし実際には、速度が向上するという嬉しい誤算に。近隣で誰も5GHz帯を使っていないため、MIMOが理想的な環境で動作し、速度向上が実現されたものと思われます。

AtermWR8700N導入にあたり、気になっていたもう一点の懸念は、外部アンテナの差でした。WHR-HP-G300N環境では、指向性の強い外部アンテナを併用することで安定性を強化していましたが、今回は特別なアンテナを付与していません。この点で伝送速度や安定性に問題が生じるのでは、との懸念を抱いていました。しかし実効速度を見る限り、この懸念も杞憂に終わりました。AtermWR8700Nは「ハイパーロングレンジ」の名称のもと電波の到達性を売りにしており、こうした環境での利用も想定しているのでしょう。

さて5GHzと言えば「電子レンジと干渉しない」ことも利点の一つに挙げられます。我が家では電子レンジと無線LANアクセスポイントとは、なるべく離して設置していますが、それでも電子レンジを稼動させると、ネットワークの伝送速度が著しく低下してしまいます。5GHの導入に伴い、その点も検証してみました。

AtermWR8700N環境を2.4GHz帯域で動作を行なった場合、pingの応答は約2-7msの範囲で安定しています。この状態で電子レンジを稼動させると、途端に応答が最長43msまでの遅延され、また応答間隔も非常に不均一になってしまいました。従来の環境で電子レンジを利用した場合と同様の現象です。

この構成を5GHz帯域で稼動させた場合、pingの応答は約2-5msでした。この状態で電子レンジを稼動させてみましたが、応答速度に変化は見られず、継続して安定した伝送が行えました。

この点からも、5GHz帯システムの導入により、ホームネットワークをより強固にすることができたと言えます。

結果AtermWR8700Nを導入することにより、到達性を維持したまま、伝送速度と安定性を向上させることが出来ました。5GHz帯へ移行したことにより、利用可能なチャンネル数も拡大、将来的にも他アクセスポイントと重なる可能性を減らすことが出来ました。

またAtermWR8700Nは、他社同等製品と比べ、設定のわかりやすさや、マニュアル記載事項の細かさ、有線ポートがGbEである点など、製品それ自身にも大きな利点があります。こうした安心感も満足度を高めてくれました。

総合的に、不満と感じる点のない大変満足度の高い製品であり、これから無線LAN環境を導入しようと考えている全ての方へお薦めしたい製品だと感じています。

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