最近では様々な場所でネットワーク環境が標準提供され、大変便利です。ただ一部のホテルなどでは、有線LAN接続サービスの提供にとどまり、無線LAN接続環境は整備されていない、という場合もあります。
こんな場合に便利な機能がPCの「ソフトウェアアクセスポイント」です。PCの無線LAN機能をアクセスポイントとして稼働させ、そのPCをルータやハブとしてパケットを仲介させることで、無線LAN機能しか持たない機器でも、有線LANネットワークサービスを利用することができるようになります。
もちろんPC側と無線LAN機器をアドホックモード接続することでも同様の効果を得られますが、アクセスポイントとして稼働させた場合、複数無線LAN機器から利用出来る点が魅力です。
ソフトウェアアクセスポイント機能は、例えば、MacOS X では、Apple社のサイトで情報が公開されていますように、System Preferences の Sharing で Internet Sharing を有効化することで利用できます。無線LANの設定はAirPort Optionsで可能です。
また Windows7 では、同様の基本機能がOS本体へ備わっているため、netshコマンドで設定を行ったり、フリーソフトウェアを使って設定を行うことで利用出来るようです。
私はWindows XPの稼働しているVAIO type G(VGN-G2)で利用したかったため「ソフトウェアアクセスポイント」ソフトウェアの同梱されたUSB無線LANアダプタを試してみることにしました。
購入したのはPLANEX社製のGW-USMicroN2Wと、GW-USNano-Mです。ともに非常に小型軽量でありながらも802.11nへ対応しており、且つ、実売1500円以下とお買い得です。
どちらも利用方法は簡単で、付属ソフトウェアで幾つか設定を行うだけで利用できます。一般的な接続
スタイルでは、PC本体の有線LANを有線ネットワークへ接続して環境を整えた後、USB無線LANアダプタでソフトウェアAPを稼働させることで、共有接続が使えるようになります。
また、GW-USNano-Mの場合には、GW-USNano-M側でソフトウェアAPを稼働させながら、PC本体の無線LANを別のアクセスポイントへ接続させることで共有、という接続も可能でした。直接無線LAN機器を接続させず、一旦PCでパケットフィルタリングを行うことで、より安全に接続したい、といった場合に利用出来るかもしれません。
さて、動作原理的には、どちらのアダプタに付属ソフトウェアも、WindowsXPが備えているISC(Inthernet Sharing Connection)機能を利用して接続環境を構築していました。すなわち、WindowsXPをルータとして稼働させ、複数のインターフェイス間でパケットをルーティングすることになります。
ここで問題となるのが、アンチウィルスソフトなど、セキュリティソフトウェアの存在です。最近のセキュリティソフトの中には、インターフェイス間のパケット中継を抑止するものが存在します。例えば私のVAIO type Gへインストールされている「ウイルスバスターコーポレートエディション」はその一つです。
このソフトウェアが稼働していると、複数インターフェイス間のパケット伝送が抑止されてしまい、結果的にソフトウェアアクセスポイントが利用できなくなってしまいます。結局適切に動作させるには、セキュリティソフトウェアを停止させる方法しか見つかりませんでした。 またこの「パケット転送抑止」は、複数インターフェイス間をISC、ブリッジのいずれで接続した場合にも発生しました。
もし「ソフトウェアアクセスポイント」が正しく動作しない場合、アクセスポイント設定や無線LAN機器の設定内容に加え、セキュリティソフトウェアの動作も確認してみると良いでしょう。
また、これは、WindowsXPのインストールされたVGN-G2固有の問題かもしれませんが、両USB無線LANアダプタ付属のデバイスドライバ共に、VAIOへ標準インストールされている「ワイヤレススイッチ設定ユーティリティ(ver.3.4)」との相性が良くありませんでした。
「ワイヤレススイッチ設定ユーティリティ」は、VAIO本体へ付属している物理的なワイヤレススイッチをオンにした場合、「どの無線LAN機能を有効化するか」を設定するためのソフトウェアです。設定可能な機能としては「2.4GHzの有効/無効」「5GHzの有効/無効」「Bluetoothの有効/無効」を任意に選択できます。私はこのユーティリティを使い、常時Bluetooth機能を無効化しています。
残念ながら無線LANアダプタ付属のドライバをインストールし、再起動を行うと、この「ワイヤレススイッチ設定ユーティリティ」(正式には、このユーティリティと対になって動作するWindowsサービス)が、本体内蔵の「Intel 3945ABGネットワークアダプタ」を切り離し、利用不可能状態にしてしまいます。確かにUSB無線LANアダプタがあるので無線通信は出来るのですが、普段は本体の無線LAN機能を使いたいと思っていたので、この挙動は驚きました。
また私の試した範囲内では、PLANEX関係のソフトウェアをすべてアンインストールするだけではこの状態を回復することが出来ず、3945ABGのデバイスドライバを再インストールする必要がありました。
「ワイヤレススイッチ設定ユーティリティ」とUSB無線LANアダプタ用ドライバの、どちらに本質的な問題が潜んでいるのかわかりませんでしたが、残念ながらこれらのUSB無線LANアダプタは、私の環境では常用するのが難しいようです。ソフトウェアアクセスポイント機能が非常に魅力的であり、その他の動作も問題がなかったので、このユーティリティとの相性問題は大変残念に感じました。
Windows XPがインストールされたVAIO type Gで「ワイヤレススイッチ設定ユーティリティ(ver.3.4)」を常用されている方は、念のため、気に留めて置かれることをお薦めします。
0 件のコメント:
コメントを投稿