2010/02/13

WZR-HP-G300NHの実効速度検証

先月1/23頃、BuffaloのWZR-HP-G300NH/Eを購入しました。802.11n倍速対応無線AP/RouterであるWZR-HP-G300NHと、4ポートハブを備えた802.11n対応ブリッジであるWLI-TX4-AG300Nのセット製品です。

WZR-HP-G300NH/E写真

新製品発売へ向けた製品切り替え時期の値引きだったようで、非常に安価に入手できました。

早速、今まで利用していた802.11g機器群と置き換え、802.11n倍速モードで使用してみましたが、残念ながら、あまり速度向上を感じられません。却って、遅くなったかもしれない、と感じることもしばしばありました。

そこで実際にどの程度の伝送速度が出ているのか、検証してみることにしました。

設置環境は、2階建ての木造一戸建てです。2FにアクセスポイントであるWZR-HP-G300NHを、また1FにブリッジであるWLI-TX4-AG300Nをそれぞれ設置します。G300NHのファームウェアはVer.1.72、AG300NはVer.1.52です。

近郊には、数多くのアクセスポイントが存在しますが、幸い13chを誰も利用していなかったため、このチャンネルを利用することにしました。認証/暗号方式にはWPA2-PSK(AES)を使用します。

AG300Nでは、現在の電波状態をパーセント表示で確認することが可能です。この値によれば、上記環境で概ね86-94%で、主に91%が多く表示されていました。

この状態で、2FにあるMacOS Xマシンでftpサーバを立ち上げます。このサーバとG300NHとの間はGbEスイッチで接続されています。1Fでは、Windows7をインストールしたLenovo S9eを有線でブリッジへと接続し、OS標準のftpコマンドで約80Mbyteのデータ取得を行って、その速度を計測することにしました。

なお、MacOS X、Windows7とも計測に負荷のかかるソフトウェアはなるべく起動しないように注意しましたが、そもそもftpを使った計測自体が推奨される方法ではありませんから、あくまでも参考値と考え、相対的な差の判断として参照されることをお薦めします。

さて、上記測定の前に、比較データとしてS9e内蔵802.11g無線LAN機能を使った伝送速度を計測してみます。G300NHは、設定を変更することなく802.11b/g/nをそのまま受信可能ですから(逆に言えば、規格を制限したりすることはできません)、特に802.11gと802.11nとの接続検証で、設定差異は発生しません。

7回計測した結果は、それぞれ以下の通りでした。括弧内がWindowsによって報告された値で、それをbitへ変換したものが左の値です。Mbps変換には1024を用いています。

  1. 16.3Mbps(2080.09KBps)
  2. 16.4Mbps(2100.43KBps)
  3. 16.5Mbps(2115.97KBps)
  4. 17.2Mbps(2195.36KBps)
  5. 17.1Mbps(2188.90KBps)
  6. 15.9Mbps(2035.72KBps)
  7. 16.6Mbps(2130.00KBps)

最大、最小を除いた5回の平均は約16.6Mbps。伝送速度の分布は非常に安定しています。

次に、このS9eの無線LANを無効化し、内蔵有線LANポートを用いてAG300Nへ接続しました。他の機器は接続していない状態です。

まずは、20MHz帯域での802.11n接続で計測してみます。理論上150Mbpsが上限です。

802.11g同様、7回計測した結果は、それぞれ以下のとおりでした。

  1. 22.3Mbps(2851.77KBps)
  2. 24.5Mbps(3134.71KBps)
  3. 49.1Mbps(6273.09KBps)
  4. 14.1Mbps(1799.58KBps)
  5. 3.2Mbps(413.35KBps)
  6. 20.1Mbps(2572.63KBps)
  7. 38.8Mbps(4971.27KBps)

最小、最大を除いた平均は約24.9Mbpsです。

平均速度は、802.11gでの接続を大きく上回っていますし、最高速度も49.1Mbpsと大変高速なのですが、如何せん、伝送速度が一定ではありません。パケットの流れを見ていると、一定期間止まってしまう場合があるようで、結果的に3.2Mbpsのような伝送速度になってしまうことがあります。この後も計測を続けてみましたが、この事象は少なくない頻度で確認されました。この不安定さが若干の不安要因です。

最後に802.11nを40MHzで動作させ、速度を計測してみました。このモードは2チャンネル分の帯域を使用する代わりに、理論値300Mbpsでの通信が可能になります。追加で利用されるもう一本のチャンネルは、20MHz用のチャンネルから3チャンネルを間に隔てたチャンネルが自動的に使用されます。今回、主チャンネルである13chは他のアクセスポイントと干渉しませんでしたが、追加チャンネルとして自動的に選択された9chは、わずかに干渉してしまっていました。

この状態で7回の計測を行った結果です。

  1. 26.1Mbps(3335.78KBps)
  2. 10.0Mbps(1282.78KBps)
  3. 10.7Mbps(1384.12KBps)
  4. 21.5Mbps(2749.77KBps)
  5. 23.3Mbps(2987.49KBps)
  6. 15.5Mbps(1980.13KBps)
  7. 15.2Mbps(1950.90KBps)

同じく最小、最大を除いた平均は約17.2Mbpsで、残念ながら20MHz接続の時よりも遅くなってしまいました。

調査結果からは「私の環境に於いても、802.11n接続では802.11gよりも高速伝送を実現できるものの、電波状況などからその実力を安定的に発揮させるのはやや困難な場合がある」ということが分かりました。802.11nの高速化は、複数本のチャンネルが有効に機能することを基本としていますから、理論通りの結果です。

このような状況下での40MHz帯域幅を利用した通信は、より一層安定性を確保することが困難になりますから、結果20MHzや802.11gでの接続よりも伝送速度が低下することになってしまいます。これに関しては、製品付属のマニュアルでも述べられていますが、その検証を行わず、802.11n+40MHz接続で設置したところが、今回の敗因でした。

これらの結果から、私の環境では40MHzモードの利用を停止し、802.11nの20MHzモードを常用することにしました。これにより、当初感じていた「802.11nで接続すると、802.11gでの接続よりも遅くなる」、と体感することはなくなりました。

なお、今回は、アクセスポイント、ブリッジとも一機種でしか検証していないため、製品差や個体差が速度低下の要因である可能性も十分に考えられます。例えば同じBuffalo製品でも、アクセスポイントを、オプションアンテナ対応のWHR-HP-G300Nに交換し、WLE-2DAなどのオプションアンテナを採用することで、伝送速度に変化が生じる可能性は高いでしょう。ぜひ、いつの日か、検証してみたいものです。

最後に、このWZR-HP-G300NHですが、PLANEXのGbEスイッチであるFXG-08IMVと相性が悪いことを留意しておいた方が良いと思います。残念ながら両者を直接有線で接続すると、オートネゴシエーションの問題でしょうか、互いに認識されませんでした。このPLANEXのスイッチは、既に生産完了品であるため、利用されている方は少ないとも思いますが、もし併用を考えている方は注意した方が良いと思います。

2010/02/14 追記:
同じく PLANEX のGbEスイッチFXG-08EMBと接続してみたところ、100Mではリンクすることが出来ました。高速無線接続環境を構築したい場合には、有線側がボトルネックにならないよう、構成や相性に留意したほうが良いかもしれません。

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